従来の衛生管理方法との違いは?

従来の衛生管理方法は最終製品から無作為に選んだ製品を検査するのに対し、HACCPは食品製造の全行程を管理し、問題のある製品の出荷を効果的に防ぐことができます。下表で従来の検査方法とHACCPによる管理を比較しました。

【HACCP義務化】従来の衛生管理方法との違いは?

従来の衛生管理方法では最終製品を検査しており、仮に事故や不良製品の出荷が起こったとしても、製造工程のどの工程が原因となったか直ぐに特定することができません。そのため、検査の結果が「不適合」となってしまうと、一連の全製品を廃棄する必要が出てきます。

また、無作為に選んだ製品の中に不良製品がある場合、出荷を防ぐことができますが、不良製品が必ずしも検査されるとは限りません。そのような、不良製品の見逃しが起こってしまうと、食中毒や異物混入といった大きな食品事故につながり、企業に大打撃を与えてしまうかもしれません。

食品事故が起こってしますと、それに対する賠償金の発生だけでなく、企業が信用を失うといった結果にもつながります。

一方で、HACCPによる衛生管理はどうでしょうか?HACCPは食品製造の全行程における危害要因の分析を予め行い、CCPを管理します。そのため、従来の管理方法とは違い、不良製品の見逃しを無くせます。また、仮に事故が生じたとしても、モニタリング結果の記録をもとに原因を直ぐに特定することが可能です。そして、食品製造の衛生管理における弱点を分析し、改善に取り組むことができます。

このように、HACCPは不良製品の出荷防止を効果的に実施することができ、金銭面・信用面のあらゆる側面から企業を守ることに繋がります。

新たに必要になる手続きや書類は?

HACCP認定の適用範囲は各業界・業種ごとに定められており、認定機関も省庁より認定を受けた業界団体と連携した審査機関が行うことが多いそうです。ですので、HACCP認定を目指すのであれば自社の業種にあった指定認定機関、地域の自治体・県に相談してみるのが良いと思います。

ちなみにですが、HACCPの認定には上記の各業種業界団体や地域による認定以外にもISO22000等様々なものがあります。各組織によって独自のHACCP認定があるのと同時に、HACCP認定のマークも複数存在します。

とはいえ、各機関で認定をもらうのに必要な手続きや書類はある程度は共通します。施設で審査受け入れの条件が整った時点で認定機関にHACCP認定の申請書を送ります。申請書の提出方法は認定機関によって違うことがあるので注意してください。その後、審査が入り、通過した場合は認定書が交付されるというのが大まかな流れです。

また、HACCP認定ですが、有効期間が定められており、定期的に手続きを行う必要がでてくるでしょう。有効期間や更新手続きも認定機関によって異なるので注意してください。

HACCP認定で必要な書類は認定機関によって異なると思いますが、一般的には下記の書類を用意するといいでしょう。

  1. 製品説明書
  2. 製造工程図
  3. 施設平面図(区域分け、作業導線)
  4. 危害要因分析表
  5. 管理基準、モニタリングの設定、改善措置、検証
  6. モニタリング記録、改善措置記録
  7. HACCP総括表

他に違いやポイント、特徴などは?

従来の衛生管理方法では検査するのは最終製品を扱う人のみでした。しかし、HACCPでは全行程が衛生管理の対象となるため、食品製造に関わる人全員が当事者となります。そのため、より効果的な危害の未然防止のためには従業員の教育を行う等して衛生的な環境作りがポイントになると思います。